私のおにぎり物語

365日、
同じ朝食で米の味を見極める

小池精米店 三代目店主・五ツ星お米マイスター・東京米スター
小池 理雄(こいけ ただお)

365日炊きたてのごはんで
1日がはじまる

米屋として生まれ育った私の朝食は、ほぼ365日ごはんを中心とした和食でした。品種や産地の違う炊きたてのご飯と味噌汁、卵焼き、自家製ぬか漬けが小池家の定番。「今日のお米はどうだ? おいしいか?」と、父からの質問が一日のはじまりでした。具材にバリエーションはあるものの、基本的に同じメニューだったのは、お米の味の違いに気付かせるための工夫だったのかもしれません。

ある日、いつも同級生から聞かされる洋風の朝食が羨ましくて、母に「パンが食べたい!」とお願いしたことがありました。すると、たった1回きりでしたが、朝食にパンが出てきたことがありました。あの時は、嬉しかった!

現在の朝食もやっぱり炊きたてのごはん

そして、米屋を私が継いだ今、朝食はやっぱり炊きたてのお米と、味噌汁、卵焼き、ぬか漬けが定番となっています。今は私が父となり、子ども達に「今日のお米はどうだ? おいしいか?」と聞く日々です。

遠足などのイベントでは、
おかか・紅生姜・炒り卵おにぎり

おにぎりの思い出といえば、遠足などのイベント時に必ず母が持たせてくれたおにぎりです。おかか、紅生姜、炒り卵を中心に入れ、海苔を巻いたもので、冷めてもおいしい。子どものころはもちろん、中高生になってもよく食べていました。小池家ではあたりまえだったのですが、話すと驚かれることも多いです。どれも単品ではありそうなのですが、この3つの具材が混ざっているのは小池家オリジナルなのかも。母は、祖母から受け継いだレシピだと言っていました。今でも思い出せる、懐かしい味です。

最近は、妻がつくるおにぎりで、鯖そぼろ、しいたけ、人参を醤油で煮詰めて、小ねぎと一緒にごはんと混ぜてにぎったものがあります。これが、本当にものすごくおいしい。子供たちも大好きなおにぎりのひとつです。妻は色々な品種でおにぎりをつくってくれるのですが、「例えばつや姫でつくったら、また違う味になるだろうなぁ」なんて、お米マイスターの目線でこっそりと思いながらも、ありがたく頂戴しています。小池家の新しい定番ですね。

それから、子供たちは手のひらサイズの少し小さめのおにぎりが好きなようです。牛しぐれを混ぜ込んだおにぎりは、特に喜んで食べてくれます。

小池家の鯖そぼろ、しいたけ、人参のおにぎり。
小ねぎと一緒に混ぜてにぎる。

頼もしい仲間たちと
お米の文化を支えたい

お米はさまざまな品種があるほか、食べ方のバリエーションも豊富にあり、とてもおもしろい食材です。おにぎりとして、ごはんをにぎっただけでお米の味わいが変わるのは不思議です。
米屋の店主である私にとって、生産農家さんやおにぎり屋さんたちは頼もしい仲間たちです。米の産地には年に5回〜10回ほど足を運び、たくさんの情報と刺激をもらっています。身をもって感じた彼らの情熱を発信していくことで、もっと多くの方に興味をもってもらえたらと思います。

小池精米店 三代目店主・五ツ星
お米マイスター・東京米スター
小池 理雄(こいけ ただお)
プロフィール
1971年生まれ
生まれも育ちも原宿・表参道。小学校時代から実家の小池精米店の手伝いをしており、大学に入る頃には立派な作業員として、配達までこなす人材に育つ。大学卒業後、小さな出版社に入社。その後、社会保険労務士の資格を取得し、人事制度コンサルティングファームに入社。
2006年、小池精米店を継ぐ。それまでの社会経験を生かし、新しいお米屋さんのあり方を常に模索している。

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